和歌

秋を感じる和歌②

台風が過ぎて束の間の静けさが、夜の帳を一層深くしていきますね。 本日紹介する和歌はこちらです。 秋の夜も 名のみなりけり 逢ふといへば 事ぞともなく 明けぬるものを 現代語訳:秋の夜が長いだなんて言葉で言うだけのことだったよう。愛しいあの方に逢え…

秋を感じる和歌①

秋の香りがほんのりする季節になってきましたね。8月下旬から9月上旬は初秋というらしいです。 さて、本日紹介する和歌はこちらです。 ちはやふる 神代(かみよ)もきかず 竜田川(たつたがは) からくれなゐに 水くくるとは 現代語訳:様々な奇跡が起こっていた…

夏を感じる和歌⑧

ベランダに蝉の亡骸がありました。ベランダに出るまで少しも気づきませんでした。誰にも知られることなく死に絶えた命を目の前にして、夏の深まりを一層感じずにはいられませんでした。 本日紹介する和歌はこちらです。 人もがな 見せも聞かせも 萩の花 さく…

夏を感じる和歌⑦

夕焼けが鮮やかになってきました。暑いと感じる夕日はこの時期特有のものですね。 本日紹介する和歌はこちらです。 わがやどの 梢の夏に なるときは 生駒の山ぞ 見えずなりぬる 【現代語訳】 私の家の梢が夏になる(生い茂る)ときは、生駒の山が見えなくなっ…

夏を感じる和歌(全く関係ない編)

入道雲を今年初めて見ました。遠すぎて、背の高さを推し量ることはできませんでしたが、きっと成層圏いっぱいまでの高さだったな違いありません。 今日紹介するのはこの和歌です。 八雲立つ 出雲八重垣 妻籠に 八重垣作る その八重垣を 【現代語訳】 雲が何…

夏を感じる和歌⑥

雨上がりの日の夜は小さな虫をよく見かけますね。あまりの多さに若干引きつつも、命の隆盛をまざまざと見せつけられました。 今日紹介するのはこの和歌です。 宵のまに 身を投げはつる夏虫は 燃えてや人に 逢ふと聞きけむ 【現代語訳】 夜の間、火の中に身を…

夏を感じる和歌⑤

大雨が花火をさらっていきましたね。重い雲の向こうに咲く、雨花火を思い浮かべながら、ベランダの手すりに肘をおくとなんだかもののあはれがわかる気がします。 さて、本日紹介するのはこの和歌です。 飛ぶ蛍 ひかりさびしく見ゆるまで なつはふかくもなり…

夏を感じる和歌④

台風が迫る今日の気温は肌を撫でるように涼しい。真夏であることを一夜の夢と忘れさせてくれる。さて、本日紹介する和歌はこちら!白鳥は 悲しからずや 空の青 海のあおにも 染まずただよう【現代語訳】白鳥は悲しいものだなあ。空の青にも、海の青にも馴染…

夏を感じる和歌③

真昼に食べる氷菓が、身体に染み渡ります。身体の中から外へ向けて涼しくなるこの感覚はいつまで経っても好きです。さて今日紹介するのはこの歌です。恋するや 遠き国をば思へるや このたそがれの 睡蓮の花【現代語訳】恋する人がいる遠い国のことを、黄昏時…

夏を感じる和歌紹介②

日が落ちた後にも残る暑さが心地よい日々が続きますね。本日の和歌はこちらです!ちりをだに すえじとぞ思ふ 咲きしより 妹(いも)とわが寝る とこ夏の花訳:隣の家から、常夏(とこなつ)の花を分けてくれないかとの言づてがきたとき、(花をあげるのが)惜…

夏を感じる和歌を紹介①

暑さが続いていますが、外を歩いていると鼻先をかすめる土の匂いに風情を感じます。 さて、今日は小倉百人一首にも取り上げられているこの和歌を紹介します。 春すぎて 夏来(き)にけらし 白妙(しろたへ)の 衣(ころも)ほすてふ 天(あま)の香具山(か…