気まずい美容師との会話

暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い

 

最早この言葉しか喋られなくなってしまったのか、そのくらい世間の人は暑さに対して不満を漏らす。だがそんな暑さは気候だけが、太陽だけが悪いのか。

 

 

 

自分自身が涼しくなろうという気概がないのも原因である。そう思った私は涼しさを感じるため、髪を切りに行った。

最近浦和ランチとファミリーマートで無駄な出費をしているため、いつもの美容院ではなく、初回だけ安くなる美容院へ行った。

 

担当はそんなにチャラくもなさそうな、美容師では珍しい妻夫木聡のような爽やかな男性であった。

美容院特有の世間話にしばらく付き合っていると、部活の話になった。

私が過去、野球部に所属していたことを伝えると、「僕野球やってた人を見ると、ポジション大体当てられるんですよ!」と彼は言い、私の体を舐めまわすように観察した。

彼は、確信めいた顔で「ファーストかキャッチャーだと思うけど……ファースト!」

と自信満々に答えた。

 

彼の予想はズバリ的中していた。

 

しかし

 

 

 

 

「ショートだす」

と答えてしまっていた。

 

 

妻夫木は間違えてしまったからかそんなに喋らなくなってしまったし、私も思いっきり噛んでしまったので恥ずかしくてずっと顔をふせていた。

おそらくもう2度と会うことはないであろう妻夫木との気まずい30分は終わり、涼しい店内を出た瞬間こう思った。

 

 

 

 

 

「暑さのせいだ」

 

あんな天邪鬼な返答をしてしまったのもすべて暑さのせいだ。決して体型を見られてキャッチャーかファーストと判断されたことにイラっとしたわけではない。

暑さがすべて悪いのだ。

カジノ法が成立したのも暑さが悪い。

帰り道、コンビニでガリガリ君を買い太陽を睨みつけながら食べた。