夏を感じる和歌紹介②
日が落ちた後にも残る暑さが心地よい日々が続きますね。
本日の和歌はこちらです!
ちりをだに すえじとぞ思ふ 咲きしより
妹(いも)とわが寝る とこ夏の花
訳:隣の家から、常夏(とこなつ)の花を分けてくれないかとの言づてがきたとき、(花をあげるのが)惜しくて、この歌を詠んで贈った歌。
常夏(とこなつ)の花は塵(ちり)ひとつさえ 積もらせないようにと思っている花です 咲いたときから
愛する妻といっしょに寝る床(とこ)にちなんだ 常夏(とこなつ)の花ですから
妹とは平安時代、親しい間柄の女性を男性が呼ぶ時に使った呼称です。
妻と共に寝る床、とこ夏の常(とこ)の音が同じで、おしゃれにかかっています。
夫婦の仲が疎遠になると共に寝ることがなくなります。そうすると2人で寝ていた寝床にホコリがたまってしまいます。
この歌は、ホコリのたまっていない、円満な夫婦を表しています。
作者である凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)は、この歌を自分の庭に咲いているとこ夏の花を分けてくれと言ってきた隣人に送った歌です。
綺麗な歌ですが、歌の使い方もまたユニークですね。