夏を感じる和歌(全く関係ない編)

入道雲を今年初めて見ました。遠すぎて、背の高さを推し量ることはできませんでしたが、きっと成層圏いっぱいまでの高さだったな違いありません。

 

今日紹介するのはこの和歌です。

 

八雲立つ 出雲八重垣 

    妻籠に 八重垣作る その八重垣を

 

【現代語訳】

雲が何重にも立ちのぼる――雲が湧き出るという名の出雲の国に、八重垣を巡らすように、雲が立ちのぼる。妻を籠らすために、俺は宮殿に何重もの垣を作ったけど、ちょうどその八重垣を巡らしたようになあ。

 

作者は須佐之男命(すさのおのみこと)です。伊邪那岐命(いざなきのみこと)・伊邪那美命(いざなみのみこと)の子。天照大神(あまてらすおおみかみ)・月読命(つくよみのみこと)の弟です。

 

古事記日本書紀に登場する有名な人物です。和歌はこの両書に記されてあるそうです。

 

この歌は出雲の国に降り立ち、櫛名田比売(くしなだひめ)と須賀の地を訪れ、新婚の宮を建てた時に詠んだ歌です。

 

櫛名田比売はとても美しい姫であったので、垣を何重にも作るという須佐之男命の行動は、なんとも愛情深いものです。

 

しかし、この後櫛名田比売が身篭った子を本当に自分の子供であるかと疑ってしまいます。深すぎる愛情は裏を返せば、裏切りを想定していないがために少しの疑いがあれば信頼を盲目させてしまいます。

 

今回この歌を紹介したのは、日本神話の登場人物も和歌を詠んでいて、面白いと思ったからです。

(大人な読者はこれが後世に作られた創作歌であることに気づくかもしれません。しかし、夢を見るのは大人になったからこそ、一層楽しめるのではないのでしょうか?)